Blogブログ
2026.3.17受け継ぎ育てていく
まだ肌寒い三月初旬。福島県喜多方市へ。というのも、民藝品店の店終いにお声かけいただいて、今まで店主の方が大切にされていた民藝の名品を見せて頂いたり、店主の方が愛用していたお着物を継いで欲しいとご縁を頂いた。

実際に受け継ぐときには、ゆったりとお話を聴く。そうやって引き続きに丁寧に時間を割くことで、また次の時代に私が紡いで行くことができる。この先、土螢の幕下げの日が来たら、手放す日が来たら、私から直接継いでくれる人へ授けていったり、娘に託した場合は、こんな母だったんです。と私の話を思う存分して、また次の世代の新たな門番に引き継いでいくのだろうと思った。新しい時代にも古風な風来坊のような子が居たら、それはそれは嬉しいな。

喜多方からの受け継いだものたちは、大切に温めて、大事な人との交流や、これからの人生の晴れの日に、華やかな想い出の中で、私をともに高めてくれる相棒のようなパートナーだ。どうぞ、よろしくね。

時代は昭和の後半。母も父も、祖父母に着物を仕立てて結婚したけれど、実際の生活は仕事や生活に多忙を極めた。ほとんどの着物が手付かずだ。仕付糸をとっていない新品のまま、平成という一つの時代を箪笥の中で眠った。長い熟睡も着物たちは理解しているように穏やかだ。これを仕立てた祖父母たちは、日々の暮らしを一生懸命邁進している子供達に安心しているようにも感じ、晴れの日の衣装に困らぬようにと仕立てた親心も受け取れる。
私はその逸品たちに、長らく美しいままお眠りいただきありがとうございました。私にお任せください、出番ですよ。と目覚ましの役割が始まった。

本腰をいれ受け継ぐ者として、作品たちを扱える人間になるために、着付けの自装を習得。すると、不思議なご縁で集まってきてくれる作品。時代を超えて、華やかに賑やに帯や着物が集っている。
私はこの着物たちの手入れをしたり、半衿を縫い付けたり、色や柄で季節を考え四季を楽しんだり、そんな私の姿をみて娘も着物が好きになってくれた。肩上げや腰上げをして、娘の為に針を進めている。誰かに頼むことなく、自分の手が動けるようになった。程遠く大人だなぁ思っていたことを、いつしか楽しんでいる大人になった。

暮らしの中の肌に馴染む野良着も大好きだ。でも、日本の職人さんたちの優美な作品を纏い、育める女性として、歳を重ねられるようになった自分に少々驚くも、昔から何となく古き良きなこと、ものが好きだった自分を思い返したり。めぐりめぐる人生が豊かでたのしい。
衣食住すべてに、ハレとケの呼吸のようなリズムが、私たちには染み付いていると思う。