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ちからだめし

週末、福島県猪苗代町・天神浜キャンプ場

家族3人と犬のエマの初キャンプ。かれこれアウトドア歴は数十年だけれど、家族3人で挑むことは未だ無かった。わたしはいつも、キャンプの設営やら、食事作りやらで、結局子どもに構う時間なく。いつも通り母ちゃんもしてしまうわけだ。わいわいと時は流れてしまう。それが楽しい反面、そんな感覚かぁ。と新たな気づきでもあった。

ありがたいことに”いつも誰かいる”我が家は、娘にとって日常であって、”誰もいない”3人の時間は嬉しそうで、特別なようだった。

「ゆっくり3人でキャンプしたい」と彼女からのほろりと出た言葉を逃したくないと、週末のキャンプへの運びとなった。

3年前にテントが破れていて、それっきりご無沙汰。この秋、もう一度外で寝よう。と決めて、テントを修復した。この3年間の間、寝泊まりはなくとも庭の森で過ごしたり、クッカーと食材をもって山登りなんかはしていたけれど。やっぱりキャンプは格別だ。

家族の中で唯一、キャンプをしていた人がいた。ちゃんとテントを立てて野外で過ごしていた強者がいた。それは、娘だ。

サマースクールで、毎年一週間単身で長野へ行っている彼女は、キャンプでテントの設営から、食事、焚き火とそつなくこなせるようになっていた。言わなくとも、やるべきことがわかるようで、数年前の親に連れてかれている幼児キャンプは、とっくに卒業していた。

今日の寝床・家族の巣を作り上げる側の人間に、いつの間にか成長していたことに、驚いた。

食材は道の駅で調達。一人1500円の予算を割り振って「ご飯係」「おかず係」「フルーツ係」をくじ引きで決める。割高な道の駅で、しっかり予算内で抑えて買い物できること、お酒の心配ばかりする親たちよりも、はるかに堅実な娘。夕飯は、創作料理で見事にもてなしてくれた。

とっても風が強い夜。キャンプというか、避難訓練のような、高山登山のビパークのような、嵐の夜となった。自然の脅威を感じる風の強さの中、一緒に朝を迎えようと、変な連帯感もみんなに生まれていた。

親はテントが飛ばされないか心配と不安があるものの、娘と犬のエマは見ての通り嵐の中だろうと定刻でぐっすり寝ている。小さな頃からどこでも寝れる特技をもつあの子は、いまも健在だ。轟々と音が鳴り止まない中、美しいほど熟睡している深い眠りが妙に面白かった。

ちょっと繊細で真面目な主人は全く寝れなかったとのこと。テントが飛んでしまったらどうしようと、ペグを打ち込んだ張本人として、心底心配だった様子。わたしはというと、娘の産みの親ですから、自然の脅威すらも凄いなぁ。強いなぁ。と感じて間もなく、目を閉じ、風に身を任せてしまう。

今日、万が一、飛んで行ってしまっても、まあ、いいか。と夢の入り口で決心すると寝落ちしてることを繰り返していた。ホテルのツンとする冷えた清潔なシーツよりもはるかに、自分でふかふかに洗ってきた温かい寝袋の方が気持ちよくて、改めて、キャンプが性に合っていることに気付けた日でもある。

すっかり晴れた翌日、嵐を越えた我が家は撤収もスムーズで、中ノ沢温泉で身体を温めた。

力試しの旅、娘を楽しませようなんて安易な考えよりもはるかに、彼女が成長していて、その頼もしさを親として沢山見させてもらった。

不思議な感覚だけれど、たった数年でできることが増えていく彼女。ゆっくりしっかりと自分だけの根を張っている姿が、とっても美しくてなんだか誇らしかった。

年を重ねて、天真爛漫の塊だった頃から、家の顔と外の顔が少しずつ分かれてくるようになってきた気がするのは、母親のわたしだけだろうか。

きっと、良いも悪いも、いろんなことを経験して大人になっていく中で、ちょっとした変化のカケラを集められるのは、親だから故の醍醐味でもある。

そんな全てをひっくるめて、”見守ってみること”の距離感が今日もあなたの親である。ということをより感じさせてもらった。

旅人の皆さんは、どんな秋を過ごしているでしょうか?秋の我が家は、それぞれが、それぞれに。自分らしく。みんなとっても、元気です。

#土螢#家族のいる宿#民泊#水戸#ゲストハウス#おかえりなさい

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