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季節を越えて

すっかり、秋。すごく好き。

匂いも、雲が薄くなり遠くなった空も、長くなった夜を感じること、月のあかり。今年もまた、秋を満喫させてもらう。

《後遺症のある母》

近くに住んでいる、私の母。知っている人は知っているが、私が21歳の時、52歳という若さでくも膜下出血を患った。

日々を淡々と過ごす。いいこともそうでないことも、彼女はどんなときも、地平線の如く真っ直ぐにフラットである。

最近、母にとって最愛の人が旅立った。母の病気の性質上、あまり感情を表に出さず、物忘れは日常のこと。だけれど、言葉の節々に寂しさを感じる。

亡き人との思い出。この道を一緒に歩ったこと、このお店にいったこと。普段は物忘れが多い彼女も、大切な思い出は何度も何度も話す。その日の天気から、何を持っていたか、どんな失敗をしたか、何度も何度も、繰り返し話す。

忘れやすい性質だと、自分でわかっているから。何度も話すんだと思う。忘れたくないことは、繰り返し繰り返し、覚えているのだと思う。だから、何度だって聞きたい。

寂しく感じるときはある?と尋ねる。彼女は、寂しいだなんて言わないっと言った。心に染みついているから、寂しいことを思い出すよりも、たのしかったことや話したことを思い出すほうで、忙しいのだとか。

なんとも、強く頼もしい姿を見せてくれる母。

一緒に生きていこう、元気がないときは支え合おう。私はお弁当をこさえ、散歩へと連れ出した。

初夏の頃、定期検診で病院へ連れて行った。くも膜下出血を二度も患って日常生活を送れている母は奇跡の人だと、主治医から言われた。そして、生きる意味があるから、生かされるのですよ。と言葉を頂いた。

私が生きる意味、わたしを取り巻く環境や、家族。

私は何度となく峠を越えそうになった母と今日も逢えるんだ。あと何回、母に手料理を振る舞い、母の手料理を食べられるのだろう。

あと何回、同じ景色を見れるのだろう。あと何回、孫の成長を隣で喜んでもらえるのだろう。あと何回、大切なことを教えてもらえるのだろう。

時間には、必ず限りがあることを。今日も真っ直ぐに生きよう。

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