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女将の昼下がり

葉が色づきはじめる。森はそよ風が吹いて秋の光は夏を惜しむかのように、日差しが強い。今年いっぱいの緑をまだ、もうちょっと。まだ、もうちょっと。といわんばかりに輝かせている。

10月のメニュー作りにようやく落ち着いて入った。今朝、主人が娘の送り迎えを担当してくれることになって、束の間のお一人様時間。なかなか、一人こうして家にいられることが今は珍しい。

子が巣立てばそんな時間も途方に暮れるほどあるだろうから、とわかってはいるものの、やっぱりお一人様時間は、とっても有り難く嬉しい。

友人から種次された天然の小麦酵母を起こして、ここぞとばかりせっせとパン作りに励む。この酵母が本当に素晴らしくて、日頃あまりパン食派ではないけれど、手作りカンパーニュの自然な味わいはなんとも言えない深みがあって、家族みんなのお気に入り。

発酵を目の当たりにすると、目に見えないちいさな働き者たちに驚かされる。ふくらまし粉ではなくて、微生物たちのよいしょ、よいしょ、はなんとも愛おしい。糠漬け、甘酒、麹料理、味噌、醤油、色んな菌に助けられながら食卓を作っていることを改めて感じる。

季節は神無月、みのりの秋、芋や栗、果実、色んなものお裾分けが増えたり、八百屋さんの品揃えも秋仕様。

メニュー作りを練りに練りながらも、肌寒くなってきたこの季節、熱燗とわいわずとも温燗くらいでしゅるっと舌を温めたい。

よし、ひと手間を惜しまず、仕込みだ、仕込みだ。

神無月の旅人たちへ、どうぞごゆるりとお越しくださいませ。

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