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螢の台所 神奈月

秋深まり、七十二候では菊の花開く頃とあります。ぐっと朝晩の寒暖差が出てきたこの頃。

ついこの前まで、暑さに身が溶けていたはずなのに。旅人たちへは夜の生姜湯と湯たんぽを出し始めて、冬支度がはじまったと秋の深まりを感じました。薪の季節が始まるなぁ…

螢の台所を希望の秋の旅人。なにかを教え学ぶというよりは、ともにつくり食べること、暮らしや食への意識交換を大切にしています。

また、水戸の郷土にふれることも旅の中の楽しみの一環として、茨城県産の大粒大豆【たちながは】の藁納豆を使ったレシピに挑戦していただきました。大粒で柔らかく甘味の強いこの品種は、切り干し大根でつくる甘塩っぱいそぼろとの相性がとても良いです。

地産地消。季節の地ものを食べること。調味料は年間を通して自家製を心がけています。

自家製味醂を使ったそぼろ納豆作りは、たったこれだけ、されどこれだけ。難しいことはないのだけれど、熟成させた味醂を使い、切干大根や天日大根のひと手間をかけるということが、いつのまにやら旨味に変わる。

鮃の昆布〆は、父が仙台沖で釣ってきてくれたもので、旅人の到着四日前から昆布で締めて下処理をしておきました。父から譲り受けた年季の入った刺身包丁は使い慣れれば切身の味方です。身を軽く抑えながら、丁寧に捌くこと。はじめは使い慣れない刺身包丁も皆で賑わいながら徐々に上達していき、美味しいカルパッチョとなりました。

衣食住は毎日のこと。毎日のことだからこそ、旅先やここぞの時ほど大切に味わいたいものです。

帰路に着き、日常へ戻った頃。素朴だけれど満たされる土螢の食、茨城という土地が産んだ産物のことをふと思い出し懐かしんでくださったら嬉しいなと思うのでした。

【螢の台所 追記】

車中泊旅路に慣れている我が家。子連れ三食外食はなかなか胃袋が堪えることと、帰路に着いた頃ぐったりと体調が崩れることが多かったことから、ここ数年は自炊を選択をしています。車中泊+湯治場めぐりは、わたしたちの大定番。

中でも食材の調達は、道の駅や野地市場、ショップの片隅にあるような地場野菜を手に取ることが多い。当たり前のことだけれど同じ野菜、品種でも育った環境、調理の仕方でまた違う味に。

その土地のものを味わう、食材や生産者との対話を愉しむことは旅の醍醐味であるということ。

茨城の旨味や歴史を感じるひとときであるだいどころ作りを今後も目指して行こうと思います。

庭の山栗をたくさんお土産に持って行ってもらいました。レシピとともに是非、栗クリームに愛情ひと手間かけてみてくださいね。

また逢う日まで。

心より、ありがとうございました。

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