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心、関わること

まだ北風が吹いて寒かった頃、京都から素敵なご夫妻が土螢へ訪れてくれた。水戸に住まう友人家族の様子を見に、はるばる茨城へ来たのだ。

ご両親との2泊3日、夜な夜な酒盛りをしてくれて私たち家族にも親身になり、とても可愛がってくれた。帰路についてからも繋がりは絶えず、遠方から心配りしてくださる、温かで素敵な旅人。

何かお礼はないものか、と思ったときに、真っ先に思い浮かんだのが友人の顔だった。きっと、彼女が日々の中で、育児や家事、仕事に追われていたとしても、ふとした瞬間にほっと一息ついて笑顔でいてくれれば、ご両親は心から喜んでくれるだろう。とお二人を思い出しながら、友人と連絡をとり、私は土螢で、私ができること、食を振る舞おうと思った。

そんな時に、また玄関から”ひろ野さーん!”と声がしする。すると、そこには違う友人が。お土産を持ってきてくれた。ありがとう、ありがとうと盛り上がった矢先、先に家にいた友人と後から来た友人が奇跡的にも一週間前に別の場所にて繋がったばかりで、玄関で二人の笑みが溢れた。

それじゃあさ、お茶をしようよ。と3人でテーブルを囲み、その日の気持ちでそれぞれの言葉を交わした。

関心をもつこと。心に関わろうとすること。

宿が始まった頃の私は、元々の対人関係にも育児にも疲れていたのが本音。なのに、滞在型の宿をオープンするだなんて、無謀なような挑戦だったかもしれない。

ただ、何故か無謀なようで、旅という土俵ではいつもフラットでいれた。だから、旅人との時間は楽しかった。もちろん緊張したり、少し見栄を張ったりなんて可愛げのある頃もあったのだけれど。自分に嘘をついていては、どんなに良いものでも長くは続かないと心底思えるようになった。だからこそ、どんどん殻を破ってわたしに嘘をつかないでと、暮らしと旅が一つ屋根の下に混在する環境で、一つ一つの経験がわたしを成長させた。

素直に旅人と巡り逢うことが、より気楽にできるようになった。

私があなたに心関わろうとしたら、わたしへ心を関わろうと、直接逢いに一声かけに、あなたがきてくれた。こうやって”関心”することは、数珠繋ぎのように繋がっていくのかもしれないね。

その日の夕暮れ時、フライヤーベーカリーさんにお邪魔した。娘がクロワッサンが好きで、一つ買う。今日はお好きなパンをもう一つどうぞ。と言ってくださった。

余ってしまって、安売りしたり、まとめ売りなら何度か経験はあるけれど、おひとつどうぞ、なんて言ってくださるパン屋さんあるの。と、驚いた。

クロワッサン一つ作るのにも手間暇がかかっているのだから。

貰えたからお得という感情ではなくて。よかったらせっかく作ったのだから、どうか好きな方に食べて欲しいという、気持ちが心地よかった。

家に帰るとポストに何か突き刺さっていた。何だかわからなかったので驚いたけれど、ご近所さんたちからのヤングコーンのギフトだった。

もしかしたら、いるかな?

もしかしたら、食べるかな?

もしかしたら、好きかな?

そうやって、関心を寄せてくれることがなにより嬉しい。とてつもなく、いつもあたたかな気持ちにさせてくれる。

関心を寄せてくれる皆のように、ヤングコーンはすごく柔らかくて甘くて。

わたしも人へ関わること、心向けること。何かの括りではなくて、一人一人に関わってみて、心寄せてみることを改めて大切にしようと思わせてくれた一日だった。

もしかしたら、と興味を示してくれる人たちがいてくれること。

ありがとう。

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